テムズにドボンしたくなる(でも寒すぎる…)
卒業制作の採点と総評が届きました。私の卒業制作はシェイクスピアの「テンペスト」をe-コロニアリズムの観点から脚色した舞台だったんですが、演出のカナメであったプロジェクターが映らなかったとか、衣装、小道具が全然出来上がらなかったとか、最後まで頭の中ぐちゃぐちゃだったとか、もうマイナス要素いっぱい。「良い点数なわけないよなー」と覚悟していたけれど、覚悟していた以上に酷い点数で、ちょっとテムズ川にドボンしたくなりました。
6月から週末含めほぼ毎日学校でリサーチ、練習。クラスメイトがサマーバケーションしている間、ご飯は基本スーパーの賞味期限間近の(もしくはすでに切れてる)特売品、わずかな服と靴は全てチャリティショップの中古品と、節約に力を入れ、参考になりそうなレッスン、ワークショップ、公演に通いまくりました。本番のあった9月なんてもうほぼ学校に住んでる状態で、プロジェクターがちゃんと機能しないとわかった本番3日前からは、美術担当のコラボレーターとまさしく寝ず食わずで舞台を成立させようと頑張ったんです…が…まあ「努力」は、アカデミックな視点では全く評価されないんですよね。作品の完成度、アカデミックな理論にどれだけしっかり裏付けされているか、自分のやりたいことがどれだけ明確に伝えられているか、それが大事なんです。でも、それができるように、もう少し指導教官に助けて欲しかったなと思ってしまう。
私の指導教官は本当に頭の切れる人で、博士であり、優秀なダンサーであり、なんと世界大会で入賞歴のある太極拳マスターでもあり、大学院の一年を通して多くを教えてもらった人なんですが、残念ながら、彼女は私の卒業制作に対する興味を持っていなかったように思うんです。私が、興味を持ってもらうことができなかった、というか。 彼女は最後まで原作であるシェイクスピアの「テンペスト」すら読まなかった。ちゃんと形になるまでは「私がここ(稽古場)にいても、意味ないでしょう?」と、ぐちゃぐちゃの頭を整理する手助けはしてくれず、ようやく完成に近づいたものを見せたら「いろんなジャンルからいろんなテクニックを取り入れたのはわかるけど、それが調和してない」と指摘してくれ、私がもう半泣きで、その解決方法を求めると、「まあ、本番まで4日あるから、しっかり考えれば良いんじゃない?」とのお言葉。 先生、ここまで仕上げるのに三ヶ月かかってるんですけど…? という言葉はもう、溢れ出る涙をこらえるのに精一杯で言えませんでした。そしてその後、トイレで5分ほどだだ泣きしましたとも、ええ。
今、ロンドンは寒すぎて、幸いテムズに飛び込む気持ちも萎えますが、積み重ねた努力を一蹴されるってのは、本当に辛いものですね。誰もが人生において、なんども経験することだと分かってはいても、ねえ。